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理想郷の統治者

  • 執筆者の写真: Lorina Martin
    Lorina Martin
  • 2017年5月11日
  • 読了時間: 5分

さて、前回ウンデルバルトがシャンバラである可能性が高いという話をいたしました。

ここからウンデルバルトの主、ワグラムについて考えていこうと思います。

シャンバラは想像上の国で、ヴィシュヌのアヴァターラであるカルキが治めているとされます。

横文字が続きすぎるとコクーンパージ状態になりますので、メガテニスト以外の方々に解説いたしますと、

ヴィシュヌはヒンドゥー教の最高位の神です。

アヴァターラ、というのは変化身で、日本語だと権現に近いかと思います。

神が人々を救う為に変化した仮の姿のような、分身のようなそんな意味合いです。

ここに来る人がわかりやすい表現にすると、エリスのアヴァターラがシルベンになるという感じです。

シェラハとシェリルより、もっともっと別物になっているイメージですね。

話を戻します。ここで、カルキという神は未来に訪れる神でして、正直なところあまり情報がありません。

(真面目なヒンディーなら別でしょうが)

ので、ヴィシュヌの線からさぐっていきます。

ヴィシュヌには、無数のアヴァターラがあり、特に主要な10のアヴァターラが信仰されてきました。

マツヤ、ナラシンハ、クリシュナなどがあり、その中で王族という属性はラーマ、ブッダ(ゴータマ)が持っています。

ラーマは神話ラーマーヤナの主人公で、さらわれた妻兼ヒロインのシーターを助ける、古典的なおとぎ話の王子様です。

ただし、パートナーのシーターは物語の中では受動的な役割のキャラクターですので、少しワグラムとは違うような気もします。

次に、ブッダ、厳密には釈迦族のブッダ、ゴータマ個人ですが、こちらは王族という肩書きを捨てています。

自然のなりゆきにまかせるべき、という主張の一部が重なるところもありますが、ワグラムが現生人類を見捨てた(と言っていいべきか)のとは間逆の立場をとっています。

ヴィシュヌのアヴァターラでは、ラーマがやや近いかというところで、類似項の調査にうつります。

アヴァターラを持つ神はそれなりにいますが、10もあるというのは特殊なようで、わざわざダシャ(10)・アヴァターラという言葉まであります。

他にダシャアヴァターラを持つ神は、ゾロアスター(ツァラトゥストラ)教のウルスラグナぐらいです。

宗教が変わっていますが、隣あった地域で信じられている宗教では神話が混ざって同じ神を信じることはよくあります。

そもそもヒンドゥー教の神のヴィシュヌのアヴァターラがブッダというのもこういうことだったりします。

(他教の権威を取り込むパターンと対立神話の神を悪魔とするパターンがあります。)

それで、ウルスラグナの話ですが、英雄と勝利の神で別名をワフラームといいます。

ワフラーム、限りなく名前に関してはこれです。

どのような神かというと、4枚の翼を持ち、戦場に現れ先に祀った陣営に勝利をもたらし、そのイノシシの姿のアヴァターラは太陽神ミトラを導き共闘する、とあります。

性質に関してはすこし違うような気がします。

一応、太陽神ミトラ(ミスラ、マイトレーヤ)がミトラの語源ではあると考えていますがちょっとピンときません。

次にうつります。

ウルスラグナはイラン・ペルシャ地域で祀られ、サーサーン朝ペルシャの君主にもワフラームという名前の王が何人かいます。

最も歴史に名を残したワフラーム1世は、もともと王子の中でも地位の低い存在でしたが、

ゾロアスター教を優遇し、神官たちの協力をとりつけて君主の位を手に入れました。

(優遇政策の中で、マニ教の教祖・預言者マニを処刑した人間としても知られています。)

権力闘争を、神の力で優位に進める人間の君主…これはなかなかワグラムのイメージに近い存在ではないでしょうか。

今、人間の君主という言葉を使いましたが、ワグラム自体が人間なのか、神(超古代人)なのかという問題もあります。

ただ、フラウマローの塔の石碑から、もともとは一都市の君主で、マリオンとの出会いにより変質した記述があります。

あくまで、ワグラム自体は人間で、異能はありますが神の力を借りていると考えてよいでしょう。

これらから、ワグラムはサーサーン朝ペルシャのワフラームをモチーフにしたキャラクターかと推測します。

…と、いいつつも、話を大幅に戻します。

今までの話は、想像上のシャンバラからの話ですが、シャンバラに繋がる場所、シャンバラとみなされる場所が現実にあります。

それが、いつかお話した、チベットのラサ市にあるポタラ宮になります。

チベットは現在は中国の自治区になっていますが、1959年までは、ダライ・ラマが首長として治めていました。

このダライ・ラマの統治は、1642年にさかのぼります。

およそ、300年の間にわたり、現実世界のチベットはダライ・ラマひとりが統治し続けていました。

300年も統治し続けるというのは訳のわからない話だと思われますが、ダライ・ラマは観世音菩薩のアヴァターラとされるラマ僧です。

神仏の化身であるラマ僧は死ぬと別の人間に同じ魂をもって生まれ変わります。

すごく乱暴にわかりやすくすると、アバロンの皇帝を想像してもらえるとよいかと思います。

そんな不思議な話があり得るのかということもありますが、チベットではダライ・ラマが亡くなるたびに、ダライ・ラマの生まれ変わりと考えられる子どもを探して国を治めさせてきたという歴史が事実としてあります。

これは、ワグラムが千年ものあいだ生き続けてきたことの説明になりうる話だとも考えます。

細かく、記憶の有無(ラマ僧の転生で引き継がれる事項は記憶と技術の一部で、本当にアバロン皇帝のイメージなのです)などがありますが、モチーフとして「何らかの技術で死なずに生き続けてきた」という可能性に加えて「同じ魂をもって生まれ変わってきた」という可能性もあるのではないかと提唱します。

結びでまた繰り返しますと、ワグラムのキャラクターはサーサーン朝ペルシャ君主ワフラームとダライ・ラマのイメージを混ぜたものである可能性があります。


 
 
 

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